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擬似モダニズムの地平Ⅱ

大阪幼児餓死事件に思う 無期懲役は必要か

 
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裁判員に冷静な判断を望む

大阪幼児餓死事件の下山被告に対し、残忍性を重視した検察は無期懲役を求刑した。それに対し、弁護側は、保護責任者遺棄致死罪の適用を求めた。大きな違いは、有期刑と無期刑の違いだが、しかし現在の無期懲役囚の平均服役年数は50年を超え、社会復帰はほぼ絶望的なのだ。裁判員がどちらを選択するかによって被告の人生は大きく左右される可能性がある。
 しかし、仮に弁護側が主張する保護責任者遺棄致死罪最大の20年の懲役刑を科したとした場合、24歳の被告が矯正を果たし、40代に社会復帰する可能性は充分にあるのに、なぜその可能性さえも検察は切り捨ててしまうのか。

 
 そもそもこの事件は、検察が主張するように、「唯一、頼れる存在の母親に見捨てられた2児の孤独、絶望は筆舌に尽くしがたく、極めて残虐、残酷な犯行。他に類を見ない凄惨事件」 なのだろうか。 もちろんこの事件が凄惨なものであったことは間違いない。しかし過去、同様に実母から見捨てられ、それでも家族が欲しいと思った未熟な母親が現実に直面し、そこから逃れるために、逃避的に消極的殺人を犯したというのが実情であって、残忍性を持った者が、我欲の為に殺害に及んだというような凶悪事件とは異質なのではないか。

 この母親は決して孤立無援ではなく、公的保護を求める事もできたし、社会的地位もある実父に頼ることも可能だったはずだ。しかし、そうすることの煩わしさよりも、自身の快楽のためには、わが子の死も「しかたがない」と感じてしまった感性は、残虐性よりも、どうしようもない未熟さと捉えるべきであって、そうであるなら、この幼い母親には、永遠の社会からの隔離ではなく、反省のための十分な時間と、矯正後の社会復帰のチャンスを与えて、もう一度、生き直すことを求めるべきなのではないか。
by eye-moriemon | 2012-03-12 20:24 | 裁判
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近代日本人の先天的欠陥を探る

by Toshiyuki Mori
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