光市母子殺害事件と裁判員制度
少し前の話題ですが。
「来年5月21日に施行される裁判員制度を前に、1つの事件を5つのグループ(裁判官3人、裁判員6人)が同時に審理して判決を出し、刑の重さ(量刑)にどのような差が出るかを検証する模擬裁判が14日、東京地裁で開かれた。 その事件とは、夫に長年DV(配偶者間暴力)を受けた末、妻が殺意を持って夫を刺し、重症を負わせたという殺人未遂事件だ。そしてその結果は、検察側の求刑が、懲役6年であったのに対し、4グループが懲役3年、執行猶予5年、実刑を言い渡したのは1グループだけだった。 この模擬裁判はニュースでも話題になったのだが、ほとんどの大手メディアの論調は、判決に差がなく、裁判員制度の正当性を訴えるものだった。しかし、問題は、どのグループの裁判官も、実刑を主張していたということだ。つまりこれまでの判例からすれば、この事件は、実刑が相当であったということだ。つまり、裁判員制度とは、裁判に市民感覚を導入することによって、情状酌量の余地を広げるというものなのだろうか。そうであれば、「いたいけな妻」であれば、殺意を持って人を刺しても、裁判員の同情さえ勝ち取れば、普段とあまり変わらない生活ができるのだ。 この模擬裁判のすぐ後に、光市母子殺人事件の判決があった。当時18歳であって、複雑な家庭環境を持ち、検察側の精神鑑定でさえ、当時の精神年齢は12歳であったという若者に対して、永山基準を超える死刑判決が言い渡された。そこでの被害者は、「いたいけな母子」 であった。 そこでの市民感情は、「怒り」 として、極悪非道な少年を弁護した弁護団に対する、数千通の抗議として現れた。 しかし、乳児を床に叩き付けた、両手で首を絞めたなどに、検察側の捏造があったという事実をみんな知っているのだろうか。死刑を前提に高裁に差し戻した最高裁は知っていたはずなのだが」 追記 上記の執行猶予付き判決を受けた、いたいけな主婦が実際にはそのあとどうなるか。 民意が執行猶予だったとしても、検察が控訴すれば、裁判員を交えなくてもいい、高裁の裁判官から実刑が言い渡されて、刑務所行きです。要するにこの裁判員制度自体が茶番劇なんです。ちなみに陪審員制度下では、検察は控訴することができません。
by eye-moriemon
| 2008-07-05 22:20
| 裁判員制度
|
カテゴリ
フォロー中のブログ
以前の記事
2020年 09月
2018年 11月 2018年 01月 2017年 10月 2016年 11月 2016年 05月 2016年 04月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 02月 2014年 12月 2014年 05月 2013年 08月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 08月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 02月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||