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擬似モダニズムの地平Ⅱ

「美しい国」の国民の─教育2 酒鬼薔薇聖斗

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─「今、生ぬるく、それでいて厳しく不安な風がふいています。この身体で感じる浮遊感、胸騒ぎ、寄る辺無なさ、溶け出しそうな感じ、体中の毛穴が塞がれた感じ、子供の頃の昼寝のあとの所在なさ、夏の夕立の前にわかに押し寄せる暗雲となま暖かい風、ガラス箱の中の亀、落下、宙づり。」─彫刻家、戸谷成雄 『PLUS OPUS─愛知芸大生へ』より

神戸須磨区のタンク山で、少年の「首」を生贄にした酒鬼薔薇聖斗は、その保護下、彫刻の全集に読みふけっていたという。 自我を修復してゆく過程では言葉は無力であり、それを可能にするのは、自らの身体と、外部との境界をなす、「皮膚」 を丹念になぞって、もういちど、浮遊する心に─「体」─を取り戻してやるしかなかったのだ。
 「観念」「理念」「言葉」は、世界中に充満している。しかし─「生ぬるく、それでいて厳しい不安」─な感じは、理念や、言葉ではすでに癒されることはなく、さらに追い求めれば、それは、見境の無い 「行動」へと駆り立てることになるだろう。 そして、「身体」を置き去りにした行動は、例えば、将来、70年前のように、観念による─「死」─をも要求するかもしれない。 

 おそらく方法は一つしかないだろう。 様々な 「理念(教育基本法の改定など)」 をさらに増幅させるのではなく、酒鬼薔薇聖斗がそうしたように、自我に、─「身体」─を取り戻すことだ。

山本麻友香 画 
by eye-moriemon | 2006-11-09 23:00 | 教育
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近代日本人の先天的欠陥を探る

by Toshiyuki Mori
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